税務・制度

最大35%税額控除!賃上げ促進税制2026年中小企業完全活用法

10月に最低賃金が引き上げられるこの秋、賃上げを迫られている中小企業経営者は少なくないでしょう。しかし、賃上げにはコスト増というイメージがある一方で、税制上の恩恵とセットで考えれば、節税のチャンスにもなります。賃上げ促進税制を活用すれば、前事業年度と比べて増加した給与額の最大35%を法人税から直接差し引くことができます。

2026年度の税制改正で一部の上乗せ措置が縮小されましたが、中小企業向けの恩恵は2027年3月31日までに開始する事業年度まで継続されています。さらに令和6年度改正で新設された5年間の繰越控除制度により、赤字の年や税額が少ない年でも控除を無駄にせず取り戻せるようになりました。10月の最低賃金改定前に、今こそ仕組みを理解して使いこなしましょう。

制度の基本:2段階の控除率と対象者

対象者は資本金1億円以下の法人や個人事業主(いずれも青色申告が必要)です。前事業年度と比較して給与等支給額(雇用者全体への給与・賞与の合計)が増加した場合、その増加額に対して以下の控除率が適用されます。

賃上げ率(前期比)控除率控除額の目安(前期給与総額1億円の場合)
1.5%以上増15%増加額150万円×15%=22.5万円控除
2.5%以上増30%増加額250万円×30%=75万円控除
2.5%以上増+上乗せ要件35%増加額250万円×35%=87.5万円控除

控除額の上限は調整前法人税額の20%です。法人税額が200万円の場合、最大40万円まで控除できます。上限を超えた分は切り捨てではなく、5年間繰り越すことができます(詳細は後述)。

上乗せ要件で35%まで引き上げる方法

2026年度改正で教育訓練費の増額による10%の上乗せ措置は廃止されましたが、女性活躍・子育て支援の認定を取得することで5%の上乗せが引き続き適用されます。対象となる認定は次の2種類です。

  • くるみん認定:次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業認定
  • えるぼし認定:女性活躍推進法に基づく女性活躍推進企業認定

重要なのは、事業年度終了日(決算日)時点で認定を取得済みであることが要件な点です。認定申請から取得まで数か月かかるため、3月決算の企業なら年内、12月決算なら9月中には動き出す必要があります。認定の有無で控除率が5%変わるため、社会保険労務士などの専門家に今すぐ相談しましょう。

赤字でも損しない!5年繰越控除制度の活用

令和6年度の税制改正(2025年申告分から適用)で、最長5年間の繰越控除制度が新設されました。従来は法人税額の20%上限を超えた控除額は切り捨てでしたが、今後は翌年以降に持ち越せます。

たとえば、賃上げ促進税制の控除枠が100万円発生したものの、当期の法人税が少なく60万円しか控除できなかった場合、残り40万円を翌年度以降に最大5年間繰り越して回収できます。

繰越控除を利用するための主な要件は以下の通りです。

  • 青色申告法人(個人事業主を含む)であること
  • 繰越期間の各事業年度で、給与等支給額が前期比で増加し続けていること
  • 毎期の確定申告書に繰越に関する明細書を添付すること

「今年は設備投資で税額が少ない」「まだ赤字が続いている」という企業も、賃上げを継続しながら繰越控除を積み上げることで、黒字転換した年にまとめて回収できます。計画的な賃上げと組み合わせることで、節税効果を長期間にわたって最大化できます。

まとめ:経営者がいまやるべきこと

  1. 今期の賃上げ率を試算する:前期の給与総額を確認し、1.5%・2.5%を達成できるか計算しましょう。達成できる場合の税額控除額を見積もることが第一歩です。
  2. くるみん・えるぼし認定の取得を検討する:決算日までの取得が条件です。今から手続きを始めれば今期分から35%の控除率が狙えます。社会保険労務士に相談を。
  3. 繰越控除の残高を確認する:2025年申告分(令和6年度以降の事業年度)から繰越が可能です。過去に控除しきれなかった分がある場合は今期の申告で活用できます。
  4. 税理士に試算を依頼する:申告書の別表6(24)の作成や必要書類の準備は専門家と進めましょう。中小企業庁の公式ガイドブックも参考になります。

賃上げは義務的なコスト増に見えますが、賃上げ促進税制をフル活用すれば、実質的な負担を大幅に圧縮することができます。10月の最低賃金改定を前に、今すぐ税理士と一緒に試算してみましょう。

※本記事は2026年8月14日時点の公開情報に基づいて作成しています。補助金・融資等の制度は変更されることがあります。最新の要件・締切は必ず公式の公募要領等でご確認ください。個別のご状況への適用は、無料相談にてご案内します。

参考: 中小企業庁 中小企業向け賃上げ促進税制freee 中小企業向け賃上げ促進税制 解説AGSコンサルティング 賃上げ促進税制2026年版

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